いつでも、どこでも珈琲が飲める時代。コンビニやファーストフード店など、今や珈琲は私たちの生活と切っても切れない関係です。でも、だからこそ、1杯の珈琲を大切にしたい。農家さんが大切に育てた豆を、丁寧に焙煎して、美味しい珈琲に仕立ててあげるのが私のお仕事です。

 珈琲は農産物です。産地や農園が違えば、同じ木の種類でも味や香りが異なります。コシヒカリでも、産地によって少しずつ味が異なるのと同じなのです。さらに、生の豆を「焙煎=加熱」することで、豆の中の成分が化学変化します。焙煎度合いによって化学変化で作られる成分やその量が異なります。そのため、焙煎度合いによって全く異なる味と香りを作りだせるのです。まさに珈琲の焙煎には無限の可能性が秘められているのです。

 そして、私たちの好みもまた無限に存在します。季節や体調によって、美味しかったり不味かったり。その時その時に本当に美味しいと思える珈琲に出会うためには、珈琲のことをよく知ること、そして自分の舌に自信を持つこと。友人が美味しいという珈琲でも、自分には合わない、よくあることですが実際にはなかなか言葉にできない、そんな経験はありませんか?これは有名な珈琲店の豆だから美味しいはず、そんな妄想はいりません。

 知れば珈琲はもっと美味しくなる。そして私たちの生活を、時間を、ゆたか彩ります。